今年の春頃からメモを取るようになった。本を読んでいる中で出てきた知らない単語や、誰かとの会話の中で印象に残っているフレーズをあまり考えることなくどんどんメモした。142個の溜まったメモの中からとくに印象に残っているものをピックアップして2023年を振り返ります。
・アイロニーとユーモアを持って生活を観察する=日記
千葉雅也と阿久津隆の対談イベントで千葉雅也が言っていた言葉。おもしろい日記を書く人は、生活の中の”瑣末な、取るに足らなさ”をいかに面白がれるかということに注力しているように思う。
・解釈労働
恵文社の藤原辰史と石岡丈昇の対談イベントで知った社会学用語。「顔色を伺わせる」という暴力がたしかに存在する。
・成果を上げることよりも続けることにこだわっているのは、続けることがまず成果だからだ。
fuzkueで働く山口慎太朗さんの日記より。
今年はfuzkueにやっと行くことが出来た。お店を出るときに阿久津さんとお話しして、これがフヅクエか、と思いました、と言ったら、「これがフヅクエです」と堂々と胸を張って返してくださったのがとても記憶に残っている。ストラグルし続けている人や場所がやっぱり好きだと思う。
・死んだらLINEして~
夏、木屋町のスナックみたいなところで飲んでいるときに聞こえてきた言葉。別れ際に発せられる言葉にこそ、その相手との関係性が現れると思った。じゃあねでもなく、またねでもなく、何が言えるだろう。
・敷衍
人文系の本をよく読むようになって、その中で頻出する単語。読めるとかっこいい。使えるともっとかっこいい。
・生活はスリルとサスペンスとブルースだ
梶谷いこさんのトークイベントでの言葉。好きな文章を書く人に直接会う機会に恵まれた一年だった。この一年で、好きな人やものに対して、好きです!とちゃんと照れ隠しせずに言えるようになったのも大きい。
*
迷走に次ぐ迷走、内省に次ぐ内省を経て、どこかに着地できると思い込んでいたがそんなものはどこにもなく、今自分のいる場所も考えも何もまとまらないまま2023年の年末を迎えてしまった。それでも、今年はとにかくいろんな人との出会いがあってよかったと思う。これからも定期的に会うであろう人、もう二度と会うことは無い人、いつかどこかでばったり邂逅するかもしれない人。それぞれの人生のある点においてほんの一瞬擦れ合って再び離れていく。2024年も本を読んで、日記を書いて、料理をして、その繰り返しの中にあるものを楽しめたらと思います。