人間性の回復

5月20日(水)

 

代休で仕事は休み。起きて、パサパサになった食パンでフレンチトースト。バターをこれでもかと使った。休みの日っていったん落ち込む。あれもこれもやりたいと思うけど、気力の面でも時間の面でも実際に手を動かせる時間は決まっている。だから、ぜんぶ思い描いたように完璧にできないのならぜんぶに手をつけたくない、という思考になってしまう。単なる完璧主義か。

今日こそは外に出る、と決めていたが、不要不急だしな…と思うと決意が揺らぐ。唸りながら家を出た。丸善に行き本を買う。やっぱり本屋は最高に楽しい。いつまでも棚を眺めていられるが、長時間いるのは良くないので欲しかった本を次々ピックアップして出る。永井祐『日本の中でたのしく暮らす』、内藤礼『空を見てよかった』、荒内佑『小鳥たちの計画』、坂元裕二『往復書簡 初恋と不倫』を買った。久しぶりに短歌の歌集を買ったのでうきうきした。好きな歌人、兵庫ユカ、岡崎裕美子、雪舟えま、永井祐。あと、笹井宏之と岡野大嗣、中澤系も捨てがたい。ほむほむは随筆のひとというイメージ、あるいは布団の中で菓子パンを食べる人。手紙魔まみを最初に読んだ時の衝撃はすごかったけれど。

烏丸の方へ向かいつつ、すこし街を歩く。マンションの植木に水をやる管理人風の人、ランドセルを扱う鞄屋の前で佇む親子、橋の欄干から覗き込むように川を見つめる男性、営業再開したばかりのスタバの紙袋を山ほど持ち歩く女性。他者をまなざすこと、あるいは他者からまなざされることによって人間の形を保っていられる気がする。歩きながら、人間性の回復という言葉が浮かんだ。

カマルでカレーをさっと食べ、ふらふら歩き八百一に寄る。ずっと高級スーパーのイメージがあったけどそこまで普通のスーパーと値段は変わらなくて驚く。しかも新鮮で質のいい野菜が多くて感動した。野菜を幾らかと、芍薬を一本買って帰った。

帰って料理。餃子を作る。皮を薄力粉多めに作ったら柔らかすぎてちょっと失敗。具はパクチー山盛り、蓮根、ネギ、お肉ちょっと、生姜すりおろし。クミンシードをテンパリングした油で焼いたら最高においしかった。明日のお弁当用に炊き込みごはん、蓮根のきんぴら、プチトマトのピクルスを仕込む。それと南瓜のポタージュを鍋いっぱいに作った。グッと集中して2時間半くらいで済ませた。この自粛期間のおかげで、体力と時間とお金のリソースを料理に全振りできるので気持ちがいい。

冷凍庫に1週間くらい前からパルムが入っているが、勇気が出ず食べられていない。パルムを食べるにはそれ相当の勇気が必要ではないだろうか。