ひとがボリボリとポテチを食べる音

5月4日(月)

 

ダンゴムシが自宅にうじゃうじゃ湧いてくる夢を見て起きる。あの大量のダンゴムシ達がどうなったのかは知らない。

朝、布団の中で『動物のお医者さん』を読み終えた。作中に出てくる実験や研究室の感じ、論文や学会発表のあれこれが自分の研究室時代を思い返すようで、いちいち懐かしかった。大学のお金のなさとそれによる実験器具や試薬の買えなさって今も昔も変わらないんだな。

午後から散歩の体をとり外出。完全に不要不急だ…と思う。罪悪感が影のようについてくるが、よく晴れているせいか久しぶりの街はなんとも平和な雰囲気だった。鴨川沿いの新緑が眩しい。誠光社で本を買う。スケラッコ『しょうゆさしの食いしん本スペシャル』、くどうれいん『うたうおばけ』、エリック・ホッファー『波止場日記』が手に取られた。こんな時に営業してくれているのが本当にありがたい。棚を舐め回すように眺めていると、心の底からじわじわ幸福感がしみ出てくる。本屋で本を買うのは楽しい。救われる思いがした。

帰宅してさっそく『うたうおばけ』を読み進める。おもしろいと思う文章は、単に構成がうまいとかだけではない何かがあるように思う。自分以外の人は、何を(誰を)、どうまなざしてどうまなざさないのか。その視線やフレームのあり様が知りたくて本を読んでいるような気がしている。

夜は大学時代の友達とzoomでおしゃべり。みんな酒を飲まない人たちなのでそれぞれにお菓子を食べながら雑談。ひとがボリボリとポテチを食べる音がこんなにも安心するなんて。友達の会社の同期が続々と結婚している話を聞いて「このまま自分たちだけ結婚できなかったらどうしようね…」とそれぞれに頭を抱えたのが面白かった。いつまでもこんな風に面白がれたらいいのにな。